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弁理士試験 短答 過去問 令和8年度【特許/実案】2
【特許・実用新案】2
特許無効審判に関し、次のうち、誤っているものは、いくつあるか。
(イ) 特許無効審判の請求が取り下げられた後において、当該特許無効審判の参加人が審判手続を続行することができる場合はない。
(ロ) 特許無効審判において、審判長は、審決の予告をし、被請求人が訂正の請求をした。その後、事件が審決をするのに熟した場合であって、審決の予告をしないときは、審判長は、当事者及び参加人に審理の終結を通知する。
(ハ) 特許庁長官は、審決があったときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。
(ニ) 特許無効審判は、請求の認諾によっても終了する。
(ホ) 特許無効審判は、特許権について不実施の場合の通常実施権の設定の裁定(特許法第83 条第2項の裁定)による通常実施権に基づいて当該特許権に係る特許発明を実施する者も、請求することができる。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ
枝イ
(イ) 特許無効審判の請求が取り下げられた後において、当該特許無効審判の参加人が審判手続を続行することができる場合はない。

確か当事者参加だったら、審判手続き続行できたよね?

はい。
当事者参加の方は可能です。
条文で確認してみましょう!
(参加)
第百四十八条 第百三十二条第一項の規定により審判を請求することができる者は、審理の終結に至るまでは、請求人としてその審判に参加することができる。
2 前項の規定による参加人は、被参加人がその審判の請求を取り下げた後においても、審判手続を続行することができる。
3 審判の結果について利害関係を有する者は、審理の終結に至るまでは、当事者の一方を補助するためその審判に参加することができる。
4 前項の規定による参加人は、一切の審判手続をすることができる。
5 第一項又は第三項の規定による参加人について審判手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、被参加人についても、その効力を生ずる。

148条1項の当事者参加=請求人として参加=自分もプレイヤーになる=元の請求人が取り下げても続行できる(148条2項)というイメージです。
ですので、設問の「特許無効審判の参加人が審判手続を続行することができる場合はない。」が×です。

なるほど。
補助参加の場合は?

148条3項の補助参加=利害関係人が、どちらかを助ける。あくまで補助。=元の当事者から完全に独立して審判を続けるという位置づけではありません。=なので、被参加人が審判を取下げたら、審判手続きを続行できないのです。
枝ロ
(ロ) 特許無効審判において、審判長は、審決の予告をし、被請求人が訂正の請求をした。その後、事件が審決をするのに熟した場合であって、審決の予告をしないときは、審判長は、当事者及び参加人に審理の終結を通知する。

これどうなるんだろう・・・?

条文で確認してみましょう
(審理の終結の通知)
第百五十六条
2 審判長は、特許無効審判においては、事件が審決をするのに熟した場合であつて第百六十四条の二第一項の審決の予告をしないとき、又は同項の審決の予告をした場合であつて同条第二項の規定により指定した期間内に被請求人が第百三十四条の二第一項の訂正の請求若しくは第十七条の五第二項の補正をしないときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。

特許法156条2項は、特許無効審判について、審理終結通知をすべき場合を2つ書いています。
① 前段・・・審決の予告をしないとき
② 後段・・・審決の予告をした場合であって、指定期間内に被請求人が訂正請求又は補正をしないとき

どっちにも当てはまらないのでは・・・??

いえ、ややこしく見えるかもですが、
結論は、審決の予告をしないなら、審理終結通知をするので、○です。

なんで?

整理すると、この問題文は、
審決予告
→ 被請求人が訂正請求
→ その後、再び審決をするのに熟した
→ でも、今回は審決予告をしない
→ では、審理終結通知をするか?
特許法156条2項前段で、無効審判では、事件が審決をするのに熟した場合であって、審決の予告をしないときは、審理終結通知をしなければならない、となります。

そうなんだ・・・

審判便覧51-17が分かりやすかったので、コチラでも確認してみましょう。
(2) 再び審決をするのに熟したとき
上記(1)アにしたがって審理した結果、当該事件において再び審決をするのに熟したときは、上記2.に記載した審決の予告の趣旨により、原則として審決をする。
ここで、先の審決の予告に対する訂正の請求の後に、請求人により無効理由の追加や変更がされることがあるが(審判請求書の要旨を変更する補正がされ、訂正に起因するものとして審判長に許可されたとき等)、これらの無効理由については、審決の予告はしない。なお、要旨変更の補正が許可されたときは訂正・答弁の機会を与える(特§134②)。
一方、先の審決の予告をしたときまでに申し立てられた理由又は職権審理結果として通知された理由(当該理由により審決の予告をしていないものに限る)によって、審判の請求に理由があると認めるときは、審決の予告をする(特§164 の 2①、特施規§50の6の2三)。

訂正請求後に再び審決をするのに熟したときは、原則として審決をするとされています。つまり、訂正請求があったからといって、常にもう一度審決予告をするわけではない、ということです。

なるほど

ということで、答え○です
枝ハ
(ハ) 特許庁長官は、審決があったときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。

これは条文通りだよね?
拒否された者もだったよね!!

条文通りだと安心しますね!
条文で確認してみましょう!
(審決)
第百五十七条3 特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。

ほんとに条文そのままだね!

ポイントは、「参加申請を拒否された者」にも送るところですね。
ということで、答え○です。
枝ニ
(ニ) 特許無効審判は、請求の認諾によっても終了する。

「請求の認諾」??
何それ??

「請求の認諾」は、ざっくり言うと、訴えられた側が「はい、相手の請求どおりでいいです。負けでOKです」と認めることです。
民事訴訟法に定められているみたいです・・・

無効審判にそんな制度あったっけ??

ないはず。
条文で確認してみましょう。
(審決)
第百五十七条 審決があつたときは、審判は、終了する。

審決があつたときは、審判は、終了するんですね。
つまり、請求人が「この特許は無効だ!」と言い、特許権者が、「はいはい、負けでいいです。無効でどうぞ」と言ったとしても、それだけで特許庁が、「じゃあ無効!終了!」とはいかないんですよね。

そりゃそうだよね。
審判で、本当に無効理由があるの?とか調べるよね。

はい。
民事訴訟:「2人のケンカだから、負けを認めたら終了でOK」
特許無効審判:「公的な登録を消す話だから、当事者の判断だけでは終了できない」
と言うイメージで覚えておいたら良いと思います。
ということで、答え×

あれ?
審決以外にも審判が終了することって無かったっけ??

特許無効審判は、審判請求の取下げによっても終了するので、追記しておきます!
(審判の請求の取下げ)
第百五十五条 審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。
2 審判の請求は、第百三十四条第一項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。
3 二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について特許無効審判を請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。
4 請求項ごとに又は一群の請求項ごとに訂正審判を請求したときは、その請求の取下げは、その全ての請求について行わなければならない。
枝ホ
(ホ) 特許無効審判は、特許権について不実施の場合の通常実施権の設定の裁定(特許法第83 条第2項の裁定)による通常実施権に基づいて当該特許権に係る特許発明を実施する者も、請求することができる。

無効審判は、「利害関係人」だけだったよね?
「利害関係人」に当てはまるかってことだよね??

はい、利害関係人のみです。
条文を確認してみましょう!
(特許無効審判)
第百二十三条2 特許無効審判は、利害関係人(前項第二号(特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に該当することを理由として特許無効審判を請求する場合にあつては、特許を受ける権利を有する者)に限り請求することができる。

「利害関係人」がどうなっているか、審判便覧で確認してみました。
31―02 P T
利害関係人の具体例無効審判の請求人適格については、「何人も」と改正された平成 15 年法改正後の特許無効審判等を除き、明文の規定の有無に関わらず「利害関係を有すること」が求められていたことから、利害関係については、その当時の裁判例が蓄積されている(後述の裁判例参照)。そして、これらの裁判例を審判請求人本人が利害関係を有するか否かという観点で類型化すると、以下の(1)~(7)のように整理することができる。
これらの裁判例は、各事件について個別具体的に争われたものではあるが、平成 26 年法改正においては、利害関係を有するか否かの判断基準や運用を変更するものではないから、これらの裁判例における利害関係についての判示内容は、平成26年法改正後の利害関係の考え方に用いることができる。
すなわち、審判請求人が、これら(1)~(7)の類型のいずれかに該当するときは、通常は利害関係を有すると考えることができる。
また、これらは例示であって、利害関係を有する者をこれらに限定するものではない。利害関係を有する者であるかは個別事件ごとに判断されるべきものであ
る。・・・省略・・・・
(5) 当該特許権の専用実施権者、通常実施権者等
当該商標権の専用使用権者、通常使用権者等
(裁判例⑪を参照)

審判便覧には利害関係人の具体例が記載されていまして、「(5) 当該特許権の専用実施権者、通常実施権者等」と記載されています。
83条2項の裁定による通常実施権者も、コレに含まれますよね。

なるほど。
でも、「不実施だから、裁定で通常実施権認めて~」て言っといて、やっぱりソレ無効じゃない?とか言って潰しに来れるんだね・・・
やだやだ!

心情的にはかなり嫌ですよね。
でも、答えは○です。
まとめ
- 枝イ ×
- 枝ロ ○
- 枝ハ ○
- 枝ニ ×
- 枝ホ ○
- で、×が2つなので、答え「2」

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