
次、弁理士試験 短答 過去問 令和7年度【特許/実案】11 枝ロです。
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弁理士試験 短答 過去問 令和7年度【特許/実案】11
【特許・実用新案】11
特許出願の審査及び出願公開等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
ただし、特に文中に示した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際出願に係る特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではなく、取下げ、放棄又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わないものとする。
また、以下において、「最後の拒絶理由通知」とは、特許法第17条の2第1項第3号に規定する「最後に受けた」拒絶理由の通知をいうものとする。
(イ) 明細書において特許法第36条第4項第2号に規定する情報(いわゆる文献公知発明に関する情報)が記載されていない場合、審査官は、特許出願人に対し、意見書を提出する機会を与えるため、同号に規定する要件を満たしていない旨を通知しなければならない。
(ロ) 審査官甲は出願人乙の特許出願Aの審査を行い、拒絶の理由を通知した。その後、乙は甲の叔父であることが判明したため、除斥の原因のない審査官丙が出願Aの審査をすることとなった。この場合、審査官丙は改めて拒絶の理由を通知することなく拒絶をすべき旨の査定をすることができる。
(ハ) 出願人が、出願審査の請求は不要であると判断し、故意に出願審査の請求の期限までに出願審査の請求の手続をしなかった場合であっても、出願審査の請求期間の経過後1年以内であれば、出願審査の請求をすることができるときがある。
(ニ) 審査官は、特許法第17条の2第3項に規定する要件(いわゆる新規事項の追加の禁止)を満たしていない旨の最後の拒絶理由通知をした。しかし、当該通知に対して出願人がした補正は、最後の拒絶理由で通知した拒絶の理由を解消していなかった。この場合、
審査官は、その補正を却下することなく、拒絶をすべき旨の査定をすることができる。
(ホ) 出願公開の請求は、出願公開前であれば、取り下げることができる。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし
枝ロ
(ロ) 審査官甲は出願人乙の特許出願Aの審査を行い、拒絶の理由を通知した。その後、乙は甲の叔父であることが判明したため、除斥の原因のない審査官丙が出願Aの審査をすることとなった。この場合、審査官丙は改めて拒絶の理由を通知することなく拒絶をすべき旨の査定をすることができる。

たしか審査官にも除斥の規定は準用されていたよね!?

はい、まずは除斥規定を確認してみましょう!
(審査官の除斥)
第四十八条 第百三十九条(第六号及び第七号を除く。)の規定は、審査官について準用する。(審判官の除斥)
第百三十九条 審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。
一 審判官又はその配偶者若しくは配偶者であつた者が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人であるとき、又はあつたとき。
二 審判官が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあつたとき。
三 審判官が事件の当事者、参加人又は特許異議申立人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
四 審判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。
五 審判官が事件について当事者、参加人若しくは特許異議申立人の代理人であるとき、又はあつたとき。
六 審判官が事件について不服を申し立てられた査定に審査官として関与したとき。
七 審判官が第六十七条第二項の延長登録の出願に係る事件についてその特許権に係る特許出願の審査においてその査定に審査官として関与したとき。
八 審判官が事件について直接の利害関係を有するとき。

審判官の除斥と忌避のうち、除斥規定は審査官でも準用されているんでしたね。
これは頻出なので覚えておきましょう!

そうだったよね。
ということは、前半部分は正しいよね。
叔父ということは、「四親等内の血族」なので除斥原因ありだもんね。

そうですね。
叔父=「四親等内の血族」=特許法48条で準用する特許法139条2号に該当し、除斥原因ありですよね。

問題は、後半だよね。
除斥原因のある審査官がした拒絶理由通知が有効かどうかってことだよね?

はい、そうなります。

普通に考えたら、ダメだよね。
だって、ずるいことしてるかもだし・・・
でも根拠条文とかあるのかな??

そうですよね。
条文にはなくて、逐条解説(いわゆる青本)に参考になりそうな記載があったので、そちらを引用します。
特許法139条の逐条解説(いわゆる青本)
・・・その趣旨はいうまでもなく審判の公正を確保するため・・・
・・・除斥原因のある審判官は職務の執行から当然に除斥されるのであって・・・
・・・関与した当初から違法なのである。

関与した当初から違法なんだね!?
そっか、そうだよね・・・

はい、そうなります。
従って、審査官丙は改めて拒絶理由通知を発行する必要があります。

じゃあ、文末の「審査官丙は改めて拒絶の理由を通知することなく拒絶をすべき旨の査定をすることができる。」が×なんだね。

はい。
たとえ同じ内容だったとしても、改めて通知が必要となります!
- (ロ) 審査官甲は出願人乙の特許出願Aの審査を行い、拒絶の理由を通知した。その後、乙は甲の叔父であることが判明したため、除斥の原因のない審査官丙が出願Aの審査をすることとなった。この場合、審査官丙は改めて拒絶の理由を通知することなく拒絶をすべき旨の査定をすることができる。
- 答え ×
- 理由 文末の「審査官丙は改めて拒絶の理由を通知することなく拒絶をすべき旨の査定をすることができる。」が×のため。叔父=「四親等内の血族」=特許法48条で準用する特許法139条2号に該当→除斥原因のある審査官は職務の執行から当然に除斥される→関与した当初から違法のため。

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