
次、弁理士試験 短答 過去問 令和7年度【特許/実案】7 枝ホです
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弁理士試験 短答 過去問 令和7年度【特許/実案】7
【特許・実用新案】7
特許法に規定する実施権等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
(イ) 専用実施権を設定した特許権者は、第三者によって特許権が侵害された場合、当該侵害行為が当該設定行為で定めた範囲に属するものであるときは、当該侵害行為に対して差止請求権を行使することはできない。
(ロ) 特許権者甲はその特許権Aについて乙に専用実施権を設定し、当該設定は登録された。その後、乙は、実施の事業とともに丙に当該専用実施権を譲渡した。この場合、特許権Aについての専用実施権の乙から丙への移転は、当該移転についての登録がされなくても効力を生じる。
(ハ) 特許権者は、通常実施権者があるときは、その通常実施権者の承諾を得た場合に限り、特許権を放棄することができる。
(ニ) 特許権の消滅により専用実施権が消滅した場合であっても、当該専用実施権が消滅した旨を特許庁長官に届け出る必要はない。
(ホ) 特許権者甲は、その特許権Aを乙に譲渡する契約を乙と締結したが、乙への特許権Aの移転の登録がされなかった。続いて、甲は、同じ特許権Aを丙に譲渡する契約を丙と締結し、丙への特許権Aの移転の登録がされた。その後、特許権Aを侵害する行為がなされた場合、当該侵害行為に対して、乙は特許権Aに基づき差止請求権を行使できる。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし
枝ホ
(ホ) 特許権者甲は、その特許権Aを乙に譲渡する契約を乙と締結したが、乙への特許権Aの移転の登録がされなかった。続いて、甲は、同じ特許権Aを丙に譲渡する契約を丙と締結し、丙への特許権Aの移転の登録がされた。その後、特許権Aを侵害する行為がなされた場合、当該侵害行為に対して、乙は特許権Aに基づき差止請求権を行使できる。

契約上は、「乙」が先だけど、特許権の移転登録していなったんだね・・・
どうなるの?

はい、これは残念ながら×となります。
条文を確認してみましょう!
(登録の効果)
第98条 次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
一 特許権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限
(差止請求権)
第100条 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

まず、特許法98条1項1号で、特許権の移転は、登録が効力発生要件でしたよね。
設問では、「譲渡」なので、カッコ書きの一般承継ではないですよね。
なのに、乙への特許権Aの移転の登録がされず、丙への特許権Aの移転の登録がされていますよね。
ということは、乙は特許権者ではなく、丙が特許権者となってしまいますね。

乙は先に契約したのに、ダメなんだね・・・

はい、登録が効力発生要件なので・・・
そして、差止請求は、特許法100条1項より、特許権者又は専用実施権者じゃないとできないですよね。

ということは・・・

ということで、乙は特許権Aに基づき差止請求権を行使できないのです。
なので、答え×となります。
- 答え ×
- 理由 乙への特許権Aの移転の登録がされず、丙への特許権Aの移転の登録がされているので、乙は特許権者ではなく、丙が特許権者。特許権者でない乙は特許権Aに基づき差止請求権を行使できない。特許法98条1項1号、特許法100条1項
- 誤っているのは4つなので、答え4
- 枝イ
- 答え ×
- 理由 専用実施権を設定したときであっても,当該特許権に基づく差止請求権を行使することができる為(高分子材料事件・最二判平成17年6月17日)
- 枝ロ
- 答え ×
- 特許法98条1項2号 専用実施権の移転は、登録しなければその効力を発生しない為
- 枝ハ
- 答え ×
- 理由 特許法97条1項 特許権の放棄で承諾が要るのは、「通常実施権者」ではなく、「専用実施権者又は質権者」であるため
- 枝ニ
- 答え ○
- 理由 特許法98条1項2号かっこ書き 専用実施権の消滅は、登録が効力発生要件なのですが、カッコ書きのところで、特許権の消滅に関しては除かれている為
- 枝ホ
- 答え ×
- 理由 乙への特許権Aの移転の登録がされず、丙への特許権Aの移転の登録がされているので、乙は特許権者ではなく、丙が特許権者。特許権者でない乙は特許権Aに基づき差止請求権を行使できない。特許法98条1項1号、特許法100条1項


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